非接触温度計とは!?

ある物体が熱い・冷たいという主観的な感覚を、その度合いを含め客観的・定量的に表して人に伝えたい、という要求は古くからありました。
現在用いられている多くの温度計は、物体の持つ熱エネルギーがその物体に接する他の物体に伝わる性質を利用したもので、接触型温度計とよばれています。

接触型温度計の原形を作ったのは、イタリアの物理学者ガリレオ・ガリレイで、この温度計は温度変化による空気の膨張・収縮を利用したものでした。その後、さまざまな改良が行われ、現在はアルコールや水銀を用いた温度計が一般的に知られていますが、その測定原理は大きくは変わっていません。

ところが、1800年にイギリスの天文学者ハーシェルによって赤外線が発見され、その後の研究で、次第に高性能の赤外線センサがつくられるようになりました。

そしてこれらの赤外線センサを利用して、従来の温度計とはまったく異なる非接触温度計が誕生したのです。

非接触温度計は、被測定物の表面から放出される赤外線放射エネルギーを赤外線センサを用いて計測し、被測定物の温度をはかります。このため、被測定物に接触させずに、その物体の表面温度をはかることができます。

真夏の野外に出ると、顔に直射日光の暑さを感じます。これは太陽からの放射される様々な光線のうち「赤外線エネルギー」を皮膚が感知しているからです。同様に、人の手も 机も 機械でも 全ての物体の表面からその温度に比例した赤外線エネルギーを放射しています。非接触温度計は、この赤外線エネルギーを利用しています。赤外線 温度計ですので、通常に『放射温度計』を呼ばれます。

放射温度計

 

非接触温度計はなんでも測れるか?

実は、非接触温度計は固体、液体の物体表面温度が測れますが、気体の温度は測定できません!
この原理で非接触 体温計も作られました。体温を保った血液が額の側頭動脈を流れる時、体温に相当する赤外線が発生しますから、非接触 体温計 おでこでこの赤外線より体温が測定できます。

 

放射率とは?

物体から放射される赤外線エネルギーの量は、その物体の表面状態(材質)によって異なり ます。その物体の持つエネルギーを 100 とすると、そのうち何%放射するかを表した値が放射率です。放射率は赤外線を放射しやすい材質の物体(表面に光沢のないもの)ほど高い数値になり、放射しにくい物(表面がピカピカした金属等)ほど低い数値になります。

 

放射温度計のレーザ光は人体に危険ですか?

ほとんどの放射温度計に使用されるレーザ光のレベルはクラス2です。
「クラス2のレーザ光」と「クラス1のレーザ光」皮膚、製品に対して傷害を与えません。でも、目に入りますと嫌悪感を感じますので、レーザ光を絶対に目に入れないように注意してください。